船舶修理の紹介
当事務所は近畿地方整備局の港湾事務所が管理する海洋環境整備船3隻と港湾業務艇4隻の定期的な修理をおこなっています。
ここでは、その概要を紹介します。
船舶の大部分は鋼材でできています。鉄は海水ですぐに錆(さび)ができるため、塗装で保護したり、薄くなってきた鋼材を交換したりする必要があります。
また、船はエンジンやプロペラ・軸・舵等が壊れたら漂流し、停まっていることもできません。
船舶は、いったん陸から離れると、波・風・潮流など自然の力に負けず、安全に航行できる能力を常に保ち、非常時の備えなども万全にしておく必要があります。そのため、定期的にメンテナンスをおこない、運輸局の船舶検査官による検査を受けて合格しなければなりません。検査は定期検査、中間検査や臨時検査などがあり、特に、定期検査時は、エンジンなど主要部の解放(分解)も義務づけられています。
具体的な修理内容をいくつかピックアップして紹介します。
船が海に浮いた状態では、外板に塗装したり、プロペラや軸をはずしたり、船底弁の分解などをすることができません。そこで、ドック(船渠)と呼ばれる修理する施設に船を入れ修理が行われます。ドックに入れることを「入渠」、出すことを「出渠」といいます。
浮かんでいるときは船の重さを浮力によりまんべんなく支えられていますが、ドック時は外板の限られた面積で支えるため、入渠のときは船体を傷めないよう細心の注意が必要です。
船舶の塗装は、鋼材でできた船体を塗膜で保護するためと、喫水線下(海水につかる部分)では、海藻・貝類等の付着生物を防止するために行われます。
船底が付着生物に覆われると抵抗が増し、船舶の速力が出なくなったり、燃料消費が増大したりします。
船底には、最初に錆を防ぐ塗料(付着性が良く塗膜が水をシャットアウトする)を塗装し、その上に汚れや生物が付着しにくい塗料を塗装します。
エンジン・軸・プロペラなどの機械部分は高い精度が必要です。特にエンジンは心臓にも例えられる重要な機関であると同時に、内部で燃料を爆発的に燃焼させ、それを動力に替えるため過酷な状態で働いています。
エンジンは、毎年、運転時の状態等によって点検整備するとともに、定期検査時(5年毎)には解放(分解)を行い、損傷した部品や、使用限界以上に摩耗した部品の交換などを行います。
船には、これまで説明した機械部分の他にも様々な機械があり、それぞれに適したメンテナンスが必要です。
永年の使用で鋼材が薄くなったり、壊れかけた部分を補強したり、取り替えたりすることを鉄工事と呼んでいます。特にゴミ回収コンテナなど、海洋環境整備船の作業機械部分は、過酷な使用で、鉄工事や分解整備を頻繁に行わなければなりません。また、船舶が老朽化すると、船体の各部でも取替工事などが発生します。
緊急時に備えて、油回収装置などの作業用装備品の分解整備を行うことも大切です。そのため色々な装備品も点検整備されます。