沈埋工法と夢咲トンネルの形状
夢咲トンネルは、「沈埋工法」を使った海底トンネルです。陸上で製作した沈埋函を海底に掘り込んだ溝に埋めて連結し、埋め戻してトンネルを作ります。
沈埋トンネルは、沈埋トンネル部、陸上トンネル部、換気所などから構成されています。
沈埋工法の施工手順は、
しかし、沈埋函は現場とは別の造船上のドライドックや海上で製作するため、沈埋函製作と同時に現地で沈埋函を埋める為の溝を掘削することができます。そのため、工期を短縮することができます。
臨港交通施設としての道路・鉄道の構造形式としては、沈埋トンネルシールドトンネル橋梁の3つの方式が一般的です。
構造形式の選定に際しては、一般的に以下の項目について比較検討し、最適な方式が採用されます。
線形および陸域における占有面積の制限
土質に対する適応性
工事環境および制約条件
施工性および工期
経済性(主に建設費、補償費、維持管理費)
景観
上記の観点から比較すると、沈埋トンネルには以下のような利点があります。
シールドトンネルでは、土質によってはシールド径以上の土被りが必要となることがあります。そのため、路面勾配を考慮すると他工法よりアプローチ部(陸上トンネル部)が長くなります。
また橋梁では、航路横断を行う場合、一般的に30mから60mの桁下クリアランスが要求されるため、アプローチ部の延長が長くなります。
それに比べ、沈埋トンネルでは一般的に土被りが1.5mから2.0m程度であり、アプローチ距離が短く、トンネル総延長を短くすることができ、かつ占有面積を小さくすることが出来ます。
沈埋トンネルは、大きな地盤支持力を必要としないため、軟弱地盤に対する適応度が高くなります。
沈埋函は、ドライドック等によるプレハブ施工により製作され、シールドトンネルに比べて水密性が高く、大断面で高品質のトンネルを短期間に築造することが出来ます。またトンネル築造の際に、圧気下での作業を必要とせず、水圧接合方式により安全かつ確実な施工が可能です。
沈埋函を製作と地盤の掘削が平行して可能なため工期を短縮することができます。
大阪港夢咲トンネルは、全長約2.1km、うち海底部である800mは沈埋函(1函:長さ100m×幅35.4m×高さ8.6m)を8函連結しています。本沈埋トンネルは中央に鉄道が通り、その両隣に車道部(片側2車線)を設け、さらにその外側に避難用道路を設けています。