技術開発・設計

尼崎閘門(集中コントロールセンター)

海に囲まれた日本は、常に高波や高潮などの自然の脅威にさらされています。そこで防潮堤や護岸、水門などの海岸保全施設によって、港湾の施設や背後の用地を守る必要があります。「閘門」もその一つです。

大被害をもたらしたジェーン台風を契機に建設

尼崎閘門

50万人の人口を有する尼崎市は、市域の大半が「海抜ゼロメートル地帯」で、台風による高潮や波浪の猛威を幾度となく経験してきました。そのために、高潮の侵入を防ぐ護岸・水門の整備が急がれ、高潮対策を図るため、閘門式防潮堤の整備を行い、昭和29年度に第1閘門が、昭和39年度に第2閘門が完成しました。しかし、完成した閘門施設もその後地盤沈下や施設の老朽化が目立ちはじめたため、昭和61年度から抜本的な改良工事が開始されました。改良工事は、旧閘門を供用しながら行うので、2基ある閘門を1基ずつ完成させる方式をとっています。1基目は、平成6年度に完成し、平成14年度に2基目の工事を行いました。平成17年度には、集中コントロールセンターが完成しました。

閘門のしくみ

閘門のしくみ

海と陸の関係

海と陸の関係

グレードアップした機械設備

新第2閘門(平成6年度完成)

新第2閘門(平成6年度完成)

門扉取付状況

門扉取付状況

門扉等の機械関係設備については、旧閘門の機能・構造材質などを徹底的に検証し、開閉装置の構造簡略化をはじめ、使用材料・制御設備の変更を図るなど、メンテナンスの容易な安全性の極めて高い閘門設備へと改善しています。

情報施工によるドライワーク工法の採用

仮締切堤内での施工状況(ドライワーク)
仮締切堤での施工状況
(ドライワーク)

改良工事は既存施設を供用しながら、しかも防潮ラインを常時確保しつつ工事を進めるため、仮締切堤によるドライワーク工法を採用しました。そして作業中の安全性を確保するため、堤内の水位 変動や仮締切堤の挙動を常時把握しながら施工を進める「情報化施工」を実施しました。

集中コントロールセンター

樋門
樋門
陸門
陸門
水門
水門

尼崎閘門をはじめとする高潮の侵入などを防ぐ護岸・水門などの施設を最新鋭のデジタル電送網を利用し、常時監視制御(遠隔自動操作)ができる集中コントロールセンターの設計を進めています。集中コントロールセンターは、施設周辺の閘門・東浜排水機場だけでなく、尼崎地区に点在する排水機場・水門・陸閘・樋門の遠隔操作、及び監視確認や河川上流の雨量情報収集など、地域の防災データを瞬時に把握し、さまざまな施設の制御を行います。

防災システム全体系統図

防災システム全体系統図
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