クラウンシール式継手
大阪港夢洲トンネル建設地点は、軟弱な粘土が厚く堆積した地盤上の埋立地で、周辺地域での過去の事例からトンネル完成後も長期にわたる沈下の継続が予想されています。
特に、夢洲側護岸付近では埋立完了直後のトンネル建設となることから、従来以上の沈下による影響が心配され、咲洲側護岸付近ではトンネルが護岸と斜めに交差することから、ねじれの発生が懸念されています。
これまでの沈埋トンネル用の継手よりも、大きな変形に追従することができる継手として、クラウンシール式継手を開発しました。
可とう性継手とは、沈下・地震などによる変位を許す継手方式で連結部全周に取り付けます。
ゴムガスケットと連結ケーブルによる構成は、沈埋トンネルの標準的な可とう性継手構造として、「東京港第二航路トンネル(1980完成)」以降多数採用されてきています。
沈埋函同士を連結するために沈埋函端部で使用します。
クラウンシール式継手は、継手部に遊間(隙間)を設けることにより、大きな変形を吸収するとともに、沈埋函本体に断面力が発生しない構造にしています。
クラウンシール式継手は内蔵型継手として沈埋函内部に設置します。
遊間の開き、せん断変形に対してクラウンシールゴムが追従することが確認できました。
負圧を作用させ、ゴムの形状計測を行いました。
水圧100kPa(水深が-10m程度の場所)でも遊間250mm、せん断変位100mmの間では二重の止水機能(セルフシール)が確保されています。
変形挙動の実測値とFEM解析結果はよく一致しました。FEM解析結果では、許容値を超えるような大きなひずみは認められませんでした。
締着部での止水と外水圧を利用したノーズ部での二重止水機能があります。
継手部に抵抗部材を設けていないため、沈下や地震による大きな変形を吸収することが出来ます。
地震時に沈埋函に発生する断面力は、従来型継手(ゴムガスケット+連結ケーブル)に比べて大幅に低減することが出来ます。
このクラウンシール式継手は内蔵型継手として沈下や地震による変形の大きい位置に設置します。夢咲トンネルでは、そのような位置にある1号函、2号函、3号函、7号函、8号函の5箇所に使用しています。