技術開発・設計

大阪港夢咲トンネルを紹介します。

大阪港夢咲トンネルの概要

大阪港夢咲トンネルは咲洲~夢洲間を道路・鉄道で結ぶトンネルです。咲洲~夢洲間を結ぶことによって、咲洲、夢洲、舞洲間で人や物が効率的に移動できるようになり、両地区の交通量の増大にも対応することが可能になります。

夢咲トンネルは、大阪港のさまざまな機能を最大限に発揮するために重要な役割を果たすものです。さらに、2025年に開催される「大阪万博」では、開催地である夢洲への重要なアクセスとなります。

大阪港夢咲トンネルの特徴

沈埋工法と夢咲トンネルの形状

夢咲トンネルは、「沈埋工法」を使った海底トンネルです。陸上で製作した沈埋函を海底に掘り込んだ溝に埋めて連結し、埋め戻してトンネルを作ります。(沈めて埋めるので「沈埋」といいます。)

沈埋工法は橋梁やシールド工法に比べて、トンネル総延長を短くすることができます。そのため、大阪港夢咲トンネルでは沈埋工法を採用しました。

トンネルは道路・鉄道併用の形式を有し、全長約2.1km、うち海底部である800mは沈埋函(1函:長さ100m×幅35.4m×高さ8.6m)を8函連結しています。

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圧密沈下対策

構造検討にあたっては、現況及び今後の計画、施工条件を考慮し、区間を分割した検討を行っています。

沖積粘土層とその下部の洪積粘土層の圧密沈下量を考慮して、躯体構造は多層構造、基礎構造は沖積粘土層下の第一洪積砂礫層(天満砂礫層)を支持層として、杭または地盤改良(CDM)による基礎とします。

多層構造は、単層構造よりも躯体上の埋立荷重を軽減できるので、洪積粘土層の沈下や基礎構造に作用する支持力の低減が図れます。杭基礎やCDM基礎は、沖積粘土層の圧密に伴う不同沈下等に対応するものであり、施工性及び経済性を勘案して、夢洲4区内では一部を除きCDM基礎、その他は杭基礎を選定しています。

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セミフルサンドイッチ構造

沈埋函の構造形式は既往実績から、RC構造形式、鋼コンクリート合成構造形式とに大別されますが、製作性、工期及び経済性等を総合的に評価した結果、上床版、側壁をフルサンドイッチ、下床版をオープンサンドイッチとした鋼コンクリート合成構造としました。

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耐火被覆の検討

夢咲トンネルはセミフルサンドイッチ構造であるため、、コンクリートは完全に密閉された構造となります。そのため、車両火災時には内部コンクリートの温度が上昇してコンクリート内の水分が水蒸気かし、鋼板に大きな圧力や変形を加えることが懸念されます。そのため、当事務所ではトンネル加熱時の変形特性を検証し、耐火設計の指標を確立するための耐火実験を行っています。

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クラウンシール式継手

大阪港夢咲トンネル建設地点は、軟弱な粘土が厚く堆積した地盤上の埋立地で、周辺地盤での過去の事例からトンネル完成後も長期にわたる沈下の継続が懸念されます。

特に、夢洲側護岸付近では埋立完了直後のトンネル建設となることから、従来以上に沈下の影響が懸念されます。更に、咲洲側護岸付近ではトンネルが護岸と斜めに交差することから、ねじれの発生が懸念されます。

そこで、夢咲トンネルでは大きな変形に追従可能なクラウンシール式継手を使用しました。

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最終継手工法

夢咲トンネルは、最終継手に経済性、工期短縮から沈埋函自身が継手を兼ねるキーエレメント工法を採用します。

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