みなと用語辞典[か]

外郭施設

港湾区域内の水面の静穏確保及び水深を維持し、港内施設及び背後地を波浪、高潮から防護するための施設。防波堤、防潮堤、水門、護岸、堤防、防潮壁等がこれにあたる。

海岸管理者

海岸法により指定された海岸保全区域について、海岸行政の主体として管理を行うべき者であり、海岸保全区域の占用の許可行為の制限等の行政処分と、海岸保全施設に関する工事、維持等の行為を行う。海岸管理者は、都道府県知事、市町村長、港湾管理者の長及び漁港管理者の長である。

海岸法

津波、高潮、波浪その他海水又は地盤の変動による被害から海岸を防護し、もって国土の保全に資することを目的として、昭和31年5月12日に法律第百一号として制定された。(平成11年5月28日に法律第五四号として大改正され海岸の環境の整備と保全及び公衆の海岸の適正な利用を図ることも目的に加えられた。)

海岸保全区域

津波、高潮、波浪その他海水又は地盤の変動による被害から海岸を防護し、国土の保全に資する必要があると認められる海岸の一定区域。都道府県知事がこれを指定することができるが、指定する区域は、海岸法の目的を達成するために必要な最小限度の区域(原則として陸地においては満潮時の水際線から50m、水面においては干潮時の水際線から50m)とされている。

海岸保全施設

海岸保全区域内にある堤防、突堤、護岸、胸壁、離岸堤、砂浜(指定したものに限る)、その他海水の侵入又は海水による侵食を防止するための施設。

海上ハイウェイネットワーク

ITを活用した次世代海上交通システム等のソフト施策と、湾内航行のボルトネックを解消する国際幹線航路の整備や中枢・中核国際港湾の整備等のハード施策とを有機的に組み合わせることにより、船舶航行の安全性と海上輸送の効率性を両立させた海上輸送ネットワークを構築するもの。

開発保全航路

港湾管理者が管理する港湾区域及び河川法に規定する河川区域以外の水域における船舶の交通を確保するため開発及び保全に関する工事を必要とする航路と港湾法第2条第8項に規定されており、その航路の区域は政令で定められている。

外貿埠頭公社

国の特殊法人である京浜と阪神の旧外貿埠頭公社団が、1982年に解散。その全財産と業務を継承するため設立された財団(港湾管理者全額出資だが、国が監督する財団法人)のこと。旧公団のあった京浜と阪神の計4港のほか、名古屋港でも1993年に設立。なお、東京港埠頭公社は2008年4月1日に、神戸港埠頭公社、大阪港埠頭公社は2011年4月1日に、横浜港埠頭公社は2012年4月1日に株式会社化。他公社も早期の株式会社化を検討中。

海里

海上の距離を表す単位で、1海里はその地の緯度1分の長さである。国際海里はメートル法の1海里1,852メートルを採用している。

ガット船

グラブ付き自航運搬船のこと。海底砂を採取し運搬する採砂運搬用や、石材などを運搬する石材運搬用などがある。

カボタージュ

外国船舶による国内沿岸輸送。船舶法第3条により外国船舶による国内輸送は原則として認められていない。

空コンテナ

荷物が詰め込まれていないコンテナ。

ガントリークレーン

コンテナ埠頭に設置される貨物の積み卸しを行うためのクレーン。橋桁を走行脚の外側に張り出すことで、貨物の積み卸し範囲を広くできる特徴をもつ。

岸壁

船舶を接岸、係留させて、貨物の積み卸し、船客の乗降等の利用に供する施設のこと。港湾法第2条に定められる港湾施設である係留施設の一つ。

起重機船

起重機(クレーン)による作業を主目的とした船。岸壁や防波堤の建造工事で、方塊やケーソンなど重量物の運搬、据付けに主として使用され、わが国では非自航式のものが多い。

喫水

船体の水面下に沈んでいる深さ。ドラフトとも呼ばれる。

ギャング

船内荷役作業者の最少の作業班の単位をいう。通常船内荷役では、在来船の場合1ギャング9~10名の構成人員である。コンテナ船の場合には、1ギャング8~9名程度となっている。

業務核都市

1985年の国土庁「首都改造計画」において、東京都心部への一極依存構造に代わり、多核他圏域型の地域構造を形成するための圏域として構想された「自立都市圏」の核として位置づけられた都市。多極分散型国土形成促進法に基づき、業務施設集積の受け皿となる業務核都市として承認されると、その中核的施設については、税制面や融資などにおいて優遇措置が受けられる。

業務継続計画(BCP)

地震や風水害、あるいは事故などの不測の事態によって、通常の事業活動が中断した場合に、可能な限り短期間で重要な機能を再開させ、業務中断による経済損失を極小とするための計画のこと。

グラブ浚渫船

浚渫作業に携わる作業船のうち、グラブバケットで土砂をつかんで、泥艙または舷側の土運船に投棄する船。中小規模の浚渫に適し、適用範囲が極めて広い。浚渫深度の制限、土質の制限も少なく、岸壁など構造物全面の浚渫や狭い場所での浚渫もできる。

係船杭(ドルフィン)

海域に独立して設けられた柱状構造物で、陸岸から離れた所に設けて、係留施設として利用するもの。港湾法第2条に定められる港湾施設である係留施設の一つ。

係船柱(ビット)

係船用の網をかけるため、埠頭等の上に設ける直柱又は曲柱。

けい船浮標(ブイ)

主に泊地において海底にアンカーされた船舶係留用の浮標。けい船浮標は一般に円形をし、海底と鎖によってつながれ海面に浮いている。石油類荷役、木材荷役及びはしけ荷役等に用いられるほか、荷役作業を伴わない船舶の係留のみを目的として設置されることも多い。

けい留施設

船舶が離着岸し、貨物の積降し及び乗降を行うための施設。種類は岸壁、物揚場、けい船浮標、けい船杭、さん橋、浮さん橋及び船揚場がある。

ケーソン

防波堤や岸壁を造るときに使用する主として鉄筋コンクリートで作った箱状又は円筒状の構造物で,あらかじめ地上で製作した後に,コンクリート,砂などを入れて水中又は土中に沈下させて設置する本体又は基礎構築物。

ケープサイズ

パナマ運河を通ることができずアフリカ最南端の喜望峰(CAPE OF GOOD HOPE)をまわる船の経済船のこと。10万~15万重量トンの大型バラ積み船をさす。

原料炭

製鉄用のコークスや石灰化学工業(炭素繊維を用いた素材等を製造)の原料として用いられる石炭。

公共施設(貨物)

港湾施設において、公共事業でつくられ、公共セクター(港湾管理者、埠頭公社等)が管理・運営する施設。これら公共施設で取り扱われる貨物を公共貨物という。

閘門

水位の異なる河川や運河、水路の間で船を上下させるための装置。固定された閘室(前後を仕切った空間)の水位を変えることができる。

航路

船が港に出入りするために設けられた水路のこと。港湾法第2条に定められる港湾施設である水域施設の一つ。

港湾EDIシステム

港湾関連の申請や届出など行政手続の電子情報処理化を推進するため、国土交通省港湾局、海上保安庁などが港湾管理者と協力して開発した情報通信システム。

港湾運送事業

港湾における船積貨物の積み卸し、はしけ及びいかだによる運送、上屋その他の荷さばき場への搬出入及び一時保管等を他人の需要に応じて行う事業。

港湾管理者

港湾法に基づき、港湾を全体として開発し、保全し、これを公共の利用に供し、管理する公共的責任の主体。地方自治の尊重の観点から、港湾法により港湾管理者となることができるのは港湾局(地方公共団体が設立する営利を目的としない公法上の法人。)と地方公共団体に限定。

港湾区域

営造物としての港湾を管理運営するために必要最小限度の区域について、国土交通大臣又は都道府県知事が港湾管理者となるべき関係地方公共団体に対して認可した水域であり、港湾管理者が港湾法により管理権を行使する区域のうちの一つ(他は臨港地区及び港湾隣接地域)。

港湾施設

港湾法上の港湾施設とは、港湾区域及び臨港地区内にある水域施設、外郭施設などに限定されている。

港湾の施設の技術上の基準

港湾における安全の確保を図るために、港湾法第56条の2の2に基づき国土交通省令で定められている技術基準。1973年に港湾法の一部改正が行われ、港湾の施設の技術上の基準を制定する条項が追加された。港湾の施設はこの技術上の基準に適合するように建設し、改良し、又は維持しなければならないとされている。

港湾法

交通の発達及び国土の適正な利用と均衡ある発展に資するため環境の保全に配慮しつつ、港湾の秩序ある整備と適正な運営を図るとともに、航路を開発し、及び保全することを目的として、1950年(昭和25年)5月31日法律第218号として制定。

港湾隣接地域

港湾区域に隣接する陸側の地域において、港湾区域又は港湾施設を良好な状態に維持・保全するための地域。地域内では公共空地の占有や土砂の採取港湾区域に隣接する一定範囲の土地における行為、利用等を規制することによって、港湾の開発、利用及び保全に支障が生じないよう措置し、港湾の機能を十分に発揮させるために指定される。

護岸

波浪による陸岸の浸食及び水圧による陸岸の崩壊を防止するための構築物のこと。港湾法第2条に定められる港湾施設である外郭施設の一つ。

国際海上コンテナターミナル

岸壁水深-12メートル以上、延長300メートル以上でかつ高能率な荷役機械を備えた外貿コンテナ貨物を取り扱うターミナルのこと。ちなみにオーバーパナマックスが停泊するためには水深-15メートル以上が必要。

国際拠点港湾

国際戦略港湾以外の港湾であって、国際海上貨物輸送網の拠点となる港湾。

国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律

改正SOLAS条約の我が国国内での実施を担保するために制定した法律。「国際航海船舶及び国際港湾施設についてその所有者等が講ずべき保安の確保のために必要な措置を定めることにより国際航海船舶及び国際港湾施設に対して行われるおそれがある危害行為の防止等を図り、もって人の生命及び身体並びに財産の保護に資すること」を目的に、2004年4月14日、法律第31号として制定。

国際戦略港湾

長距離の国際海上コンテナ運送に係る国際海上貨物輸送網の拠点となり、かつ、当該国際海上貨物輸送網と国内海上貨物輸送網とを結節する機能が高い港湾であって、その国際競争力の強化を重点的に図ることが必要な港湾。

国際総トン数

船舶の大きさを表す総トン数は、計測方法が各国まちまちであったため、国連の専門機関であるIMCO(政府間海事協議機関;現在のIMO)において、「1969年の船舶のトン数測度に関する国際条約」(1982年7月発効)が制定され、はじめて世界的に統一されることになった。この国際条約によって計測された総トン数を国際総トン数という。しかし、この条約が発効した後も、既存船は12年間は現行の総トン数を用い、新造船は国際総トン数を用いることとされている。

国際ハブ港湾

海上輸送の拠点となる港。ここに各地域の港湾に出入りする貨物を集め超大型コンテナ船で一括大量輸送を行う。そのため大水深コンテナターミナルを必要とする。

国際複合一貫輸送

国際複合一貫輸送とは、一般的に2国間以上の複数国にまたがり、船と鉄道/トラック、船と航空機など異種の輸送手段を組み合わせて、単一の運賃で最終仕向け地まで一貫して輸送するサービスをいう。

56条港湾

港湾管理者が設けられない港湾で、都道府県知事が水域を公告した(だけの)港湾。港湾法第56条を根拠。

コンクリートミキサー船

防波堤、岸壁および海上の橋梁基礎などへのコンクリートやモルタル(セメント、または石灰に砂を混ぜて水で練ったもの)の打設作業を能率よく行うために、海上にてコンクリートやモルタルを製造注入する非自航式船舶。

コンテナ

貨物、特に雑貨輸送の合理化のために開発された一定の容積をもつ輸送容器。材質は鋼などがあるが、近年はアルミ製が主流。サイズは通常、長さで表示され、10、20、40ft.のものが主流。ただし、最近のコンテナ輸送においては、40ft.を超えるものも用いられている。また、コンテナの幅と高さは8ft.が標準であったが、最近では高さが8ft.を超える背高コンテナが使用されるようになってきている。ISO規格の20ft.コンテナのサイズは、長さ6.06m×高さ2.59m×幅2.44mである。

コンテナ化率

定期貨物量全体に占める定期コンテナ貨物量の割合。

コンテナターミナル

コンテナの海上輸送と陸上輸送を結ぶ接点となる港湾施設。主に岸壁とコンテナヤードから構成される。

コンテナ埠頭

コンテナの海上輸送と陸上輸送を結ぶ接点となる港湾施設の総称。岸壁、エプロン、マーシャリングヤード、コンテナヤード、フレイトステーション、メンテナンスショップ、コントロールタワー、ゲートなどの固定施設と、本船荷役、コンテナ貨物の授受、保管などのための一連の荷役用可動施設が配備されて、一般にコンテナターミナルと呼ばれる。その規模は、接岸するコンテナ船の大きさや接岸頻度、荷役方式によって異なる。

コンテナフレートステーション(CFS)

コンテナターミナルの中にあり、コンテナ1個に満たない小口貨物をコンテナに詰め、またはコンテナから取り出す作業を行う場所。CFSに搬入される貨物およびCFSで荷渡し貨物をCFS貨物と呼ぶ。

コンテナヤード

本船に積み卸すコンテナと輸送用のシャーシを受け渡したり保管したりする場所。コンテナターミナルの多くの面積を占める。

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