みなさんが舞鶴の海を眺める時、大小さまざまな船が往来するのを目にすることと思います。「あれは何の船だろう。どんな仕事をしているんだろう。」そんな思いを巡らせながら、どこかのどかなその風景を楽しんでいるのではないでしょうか。
そんな舞鶴の海の上を35年もの間走り続けた当事務所の船、「ゆうづる」がこの3月をもって引退することとなりました。(個人的な話ですが、この記事を書いている私と「ゆうづる」はともに昭和54年度生まれ、どこか特別な親しみを感じており、引退という事実がとびきり寂しく感じます)
私たちが行っている海上での工事を監督する目的で「ゆうづる」は長い間働き続けてきました。時には港湾施設の点検やパトロール、事件や災害など非常事態が起きた際の対応に備えるなど、工事の監督のほかにも様々な役目を担ってきました。しかしながら、船体の老朽化などにより長年にわたる役目を終え、この度引退することとなったのです。
「ゆうづる」という名は、船が作られた時に一般の方から名前を募集し、選考の末に名付けられたそうです。どこか優しく、ゆったりとした舞鶴の海を思わせる、とても良い名前を付けていただいたと思っています。
4月からは「ゆうづる」に替わり、「きのかぜ」という、これまで和歌山近海で港湾業務を担っていた船が舞鶴にやって来ます。船体はゆうづるよりひとまわり大きく、波の大きな太平洋で活躍してきた船です。舞鶴の海でも充分に力を発揮し、私たちとともに舞鶴港の整備に尽力してくれると期待しています。
みなさまも舞鶴の海を眺める際には、この「きのかぜ」が活躍している姿を探してみてください。
ここで長年にわたる勤めに敬意をあらわし、一節詠います。
ゆうづるよ 苦楽をともにし はや幾星霜
雨の降る日も 雪の降る日も
この海とともにあり 私たちとともにあり
元は鉄のかたまり 還るもまた鉄のかたまり
それなにの 私はなぜ切ない
ゆうづるよ ゆうづるよ 優しき鉄のかたまり