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きらきら輝く言葉“みなと”
川辺 暁美(コミュニケーション・パーソナリティ)

 
神戸
  「世界中でどこの港が一番きれいですか」とある客船の船長に尋ねたら、2、3の有名な港の名前を挙げたあと、「でも、一番ほっとする港、それは神戸です」と微笑んだ。港に入ってきたときの景色が美しく、航海の疲れが癒されるのだ、と。それを聞いて、私の脳裏には、小学 3年生の校外学習で港めぐりの遊覧船に乗り、初めて、海から神戸のまちを見たときの興奮と誇らしさがよみがえっていた。明るい光と緑に包まれたあの美しい景色が・・・。

  作家、陳舜臣さんが、エッセイ『神戸ものがたり』の中で「神戸の海は、港湾とそうでない海にわかれる。(中略)港が神戸の核を象徴するとすれば、港でない海は、神戸の余剰を象徴するだろう」と書いている。確かに、私にとっても、家族で海水浴に行ったり水族館に出かけたりする須磨・舞子の海は、等身大の自分で向き合える、くつろぎの海であり、一方の神戸港は、国際都市・神戸の表玄関、胸を張って誇ることのできるまぶしい存在であった。

  実際に多くの人が「異国情緒あふれる港町・神戸」に憧れを持っていることを実感したのは、学生時代に、異人館ガールズに選ばれ、神戸の観光キャンペーンキャラバン隊の一員として全国をまわったときである。神戸のあまりにも良いイメージが浸透していることにむしろ戸惑いを感じたほどであった。

  私は、現在、日本語の持つ美しい響きやそのこころを自分の声を通して、次の世代に伝える活動をしている。言葉には魂があり、力がある。

  かつて「みなと」は、それ自体が、常に華やかで明るく輝いている言葉であった。しかし、今、その言葉からは、ちょっと元気を感じない。いつも港からの新しい風を頬に感じて暮らしてきた神戸っ子としては、もう一度、「みなと」にきらきらと輝く言葉として返り咲いてほしい。

  そして、私なりに神戸のまちや港を舞台とした小説やエッセイを自分の声で語り伝えていくことで、港の息吹をこのまちに吹き込むことができたら、と考えている。

 
川辺 暁美 プロフィール
川辺 暁美 (かわべ あけみ)
神戸女学院大学卒業後、 NHK神戸放送局ニュースキャスターを経て、平成元年、「兵庫県広報専門員」に登用される。 以後、 7年間、県政のスポークスパーソンとして、「県民の視点と女性の感性に基づいた、親しみやすくわかりやすい県政広報」をテレビ、ラジオ、広報誌などの媒体や、シンポジウムなどにおいて展開。 現在は、これまでの経験をベースに、「あたたかい言葉で話したい」をモットーに、司会、ナレーション、コーディネーターをはじめ、話し方、コミュニケーション、ビジネスマナーの講師としても活躍している。 また、美しい日本語の響きを大切にした、朗読、読み聞かせ、音楽と語りのコラボレーションなどにライフワークとして取り組んでいる。
 
 
 

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