技術開発・設計

防波堤の新技術

上部パイラー

大水深・高波浪海域において経済的な新型防波堤の開発

上部パイラー形式防波堤の特徴

従来の防波堤(消波ブロック被覆堤)イメージ図
上部パイラー形式防波堤イメージ図

従来の防波堤(消波ブロック被覆堤)では、水深に比例して大量の消波ブロックが必要となります。また、水面上に消波ブロックが露出する部分も多いことから、景観に優れているとはいえません。

上部パイラー形式防波堤は、水面付近より上側の消波ブロックの代わりに、パイラーと呼ばれるコンクリート製の円柱を設けることで、波のエネルギーを低減させることが特徴です。この仕組みにより、使用する消波ブロックの量を減らすことができるので、経済的に有利な防波堤となります。また、パイラーの高さを少しづつ変化させることで、波をイメージさせるような景観にも配慮した防波堤にすることも可能となります。

上部パイラー形式防波堤の波力低減

上部パイラー形式防波堤は、ケーソン前面と上部工後壁とで作用する波力が部分的に最大となる時間がずれることにより、防波堤が受ける最大波圧を低減させることが可能です。また、パイラーにより波エネルギーを発散させることもできるので、防波堤が受ける波力を一層低減します。


ケーソンに作用する波圧の時系図(模型実験結果)

ケーソンに作用する波圧の時系図(模型実験結果)
波の状況説明図

上部パイラー形式防波堤の波力低減の原理を、模型実験結果を用いて説明します。Aの状態は、ケーソン前面の波力が最大になったときで、Cの状態は、上部工後壁の波力が最大になったときを表しています。堤体の安定にとって一番危険であるのは、波力の合力が最大となるBの状態であることから、上部パイラー形式防波堤は、波圧に位相差をつける構造となっていることが明らかになりました。

施工実施例

上部パイラー形式防波堤は、外洋に面した大水深・高波浪海域でより効果を発揮します。

日高港御坊地区防波堤(西)の概略設計を行う過程で、上部パイラー形式防波堤を適用することにより、建設コストの縮減が期待できることから、採用することとなりました。

ケーソンの据付は平成12年4月から行われ、上部工の打設は平成14年1月から施工されました。日高港での安定した荷役作業や安全な船舶航行を支えています。


工事名: 日高港御坊地区防波堤(西)築造工事
発注者: 国土交通省近畿地方整備局 和歌山港湾事務所
工 期: ケーソン据付 平成12年4月〜平成14年3月
上部工打設 平成14年1月〜平成14年10月

日高港御坊地区防波堤(西)写真
パイラー部のコンクリート打設状況の写真
パイラー部のコンクリート打設状況
コンクリートミキサー船の写真
コンクリートミキサー船
工事中の航空写真
工事中の航空写真
港外側から防波堤写真
港外側から防波堤写真